CFOに必要なスキル魅力
「プライム上場企業のCFOとして重要なスキルは何だと思いますか、ハードスキルとソフトスキルの両方を教えてください。」
私自身がCFOとして有しているスキルは、ハードスキルが3つ、ソフトスキルが1つだと思っています。ハードスキルは、会計実務、投資銀行経験、英語の3つです。ネットで「CFOになるためには」と検索するとヒットする代表的スキルかもしれませんね(笑)。そして、ソフトスキルは、根性、かっこいい言い方をするとコミットメントや熱量です。これらの掛け合わせ、特にはソフトスキルが重要だと思います。先日、ある証券会社のレポートで、「他社出身のCFOがいる企業」という投資テーマで20人程度のCFOの1人に選んでいただきました。
50-60代の大先輩方が大宗を占める中で、その1人(1社)として注目いただける事は非常にありがたく、嬉しく思いました。CFOが何で評価されるかといえば、様々だと思います。成長企業であれば成長性に基づく株価であったり、安定企業であればキャピタルアロケーションだったりすると思います。CFOが事業を見ているという事は非常に大きな武器だと思いますが、大前提として財務がベースにあることが大切だと思っていますし、これからも大切にしていきたいです。直近では大企業のCFOがCEOになる事例も出てきておりますが、私は最後までCFOとして最大限、力を発揮したいと考えております。
「中川さんの考えるCFO職の魅力ややりがいを教えてください。」
こんなに株式市場というシビアな世界において、株価という具体的な通信簿が出される職業は他にないと思います。社内外で、会社の魅力を数値をもって説明できる事はCFOの魅力ではないでしょうか。上場会社は日々結果を求められるので、すごく鈍感な人か、メンタルが強くてずっと頑張り続ける事が出来る人でないと続けていくことは難しいかもしれません。
「10年ほど前から、投資銀行からベンチャーのCFOになるという流れができてきた気がします。中川さんから見て投資銀行からベンチャーに行こうとしている人にアドバイスはありますか。」
一部メガベンチャーのCFOが投資銀行出身者ということもあり、外資系投資銀行の出身者は成功しているかのように見えるかもしれませんが、実はうまくいっていない例がかなり多いと思います。その理由を考えたときに、ストックオプションありきで転職している人が数多くいるということが一つとして挙げられると思います。お金だけが目的では、事業会社で数年も耐えられないと思います。ベンチャーの場合、組織もぐちゃぐちゃで新卒1年目でやるような雑用もかなり多いです。3-5年後のストックオプション数億円のために我慢できるほど甘い世界ではないと思います。報酬ではなく、事業に興味を持って、経営陣を信頼できてそして自分が全力で頑張ることではじめて目標を実現できる世界だと思います。そして、もちろん、最終的には、成果にあった報酬を手に入れることができればこれ以上ないことかと思います。
「最後に中川さんの夢をお聞かせください。」
アンビスに入る前の私に聞いたら違うことを言っていたと思いますが、今後もヘルスケア業界だけにとどまらず社会貢献性のある事業に携わり続けたいと思っています。アンビスでCFOとして、事業が拡大したり株価が上がることで、すごいですねと言われることは嬉しいです。ただ、もっと重要な事は、社会的意義がある事業に携わっているという実感です。私自身、なぜこんなに一所懸命に働けるのかというと、携わっている事業が社会的意義があると信じれているからです。これからも世間の基準ではなく、あくまでも自分の基準で社会的意義がある事業に携わり続けることで、これまで培った自分の能力を発揮する事ができればこれ以上に嬉しいことはないと思います。