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CYBERDYNE株式会社/特任役員 安永 好宏 氏

数字で判断し、未来を創る。CFOから営業、研究者へ--挑戦を重ねたキャリアの軌跡

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※インタビュアー/バリューアップパートナー株式会社 代表取締役 大塚寿昭
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    「10年後のなりたい自分」から逆算して行動

    「いろいろな意味でキャリアチェンジをされてきましたが、振り返って思うことはありますか。」

    若い頃から、私は「10年後にどういう自分になりたいか」をかなり意識していました。そのために必要なことを、ちゃんと勉強して準備していく。いきなり何かを勉強したからといって、すぐに何者かになれるわけではないので、まずは「どうなりたいか」を言語化して、書き出していたんです。だから、CYBERDYNEに入社した時も、「こういうCFOになりたい」「最後は自分で会社を起こしたい」という夢を書いていました。

    実際、2009年、42歳の時に書いたメモには、「博士になる」とも書いてあるんです。時間はかかりましたが、結果的に実現していますよね。それから、大規模なリストラを経験してきたこともあり、「雇用を生み出す会社を作りたい」ということも書いていました。

    「ある意味、ずっとキャリアチェンジを続けてこられたわけですが、その結果として、東京大学医学部附属病院 老年病科の客員研究員などにもつながっていくのですね。」

    そういう意味では、本当に「人との出会い」だと思います。自分から「研究者になりたい」と強く思っていたわけではないんです。むしろ、企業人として博士号を取得したので、「これで一区切りかな」と思っていました。ところが、「博士号を取ったなら、一緒にこういう研究をしませんか」と、お声がけをいただくように。東京大学医学部のホームページには、私の専門分野として「管理会計」と書かれているんですよ(笑)。

    でも、医学の世界でも、会計や経営の知識はものすごく役に立っています。医療は、理想だけでは成り立ちません。どんな治療にもコストがかかりますし、国の財政にも限界があります。その中で、「どう社会実装していくのか」「どう持続可能な形にするのか」を考える必要がある。今も、マレーシアでHAL®の保険適用に関する調整などをしていますが、単なる営業としてではなく、「米国公認会計士としてコスト計算も理解した上で、この仕組みは社会全体にとってプラスになります」と説明できる。そこに説得力が生まれるんです。

    また、単に「医学博士を持っています」で終わらせず、研究を継続することにも意味があると思っています。実際、国の研究費にも採択され、3年間の研究費をいただきながら研究を続けています。今年がその最終年度です。
    さらに、そうした活動を評価していただき、福島県立医科大学では特任教授として研究にも関わっています。

    「人生って、本当にどこへ辿り着くかわからないですね。」

    本当にわからないですよね(笑)。
    まさか、武富士で借金の回収をしていた人間が、福島医大の教授になるなんて、自分でも想像していませんでした。でも、振り返ると、全部つながっているんです。
    メンタル面も、本当にすごく弱いんですよ。ただ、武富士時代にボロボロになるくらいパワハラも受けましたし、厳しい環境も経験した。その結果、「石になる」というか、「無になる力」を身につけたのかもしれません。

    それぞれの大学病院での研究内容

    「大学では、どのような研究をされているのでしょうか。」

    私は現在、東京大学医学部附属病院 老年病科の客員研究員をしています。今の日本は超高齢社会です。やはり、「介護される期間をできるだけ短く、自立して生きられる時間を長くする」ということが、とても重要だと考えています。そのためには、早い段階から運動することが大切です。ただ、多くの方が「運動=しんどいもの」と思い込んでいるんですよね。ちょうど先月論文にもなったのですが、HAL®によって神経系の回路を改善すると、体が動きやすくなり、「しんどくない運動」ができるようになります。運動というと、重いバーベルを持ち上げるような筋トレを想像されがちですが、そうではありません。日常のちょっとした動作や運動回数を増やすだけでも、大きな意味があるんです。そうした、「継続できる運動」が健康寿命にどう影響するのかを研究しています。

    また、福島県立医科大学 では、HAL®を中心としたテクノロジーを活用したリハビリテーション研究に関わっています。
    さらに、2020年からは 早稲田大学 人間科学学術院で非常勤講師も務めています。授業テーマは、テクノロジースタートアップです。単なる起業論ではなく、「テクノロジーをどう社会実装していくか」という話をしています。資金調達も含めてですね。
    学生さんたちが、本当にキラキラした目で話を聞いてくれるんですよ。授業後には、「どうやってベンチャーを立ち上げればいいですか?」「資金調達はどう考えればいいですか?」と、たくさん質問をもらいます。初年度はコロナ禍でオンライン授業でしたが、今は対面授業になり、学生さんの熱量を直接感じられるので、とてもやりがいがあります。

    これからの時代に必要なソフトスキル

    「管理部門のトップも営業トップも経験された中で、安永さんが考える共通するソフトスキルは何でしょうか。」

    一番は「適応力」だと思います。この30年だけでも、求められる能力は大きく変わりました。テクノロジーも環境も、どんどん変わっています。だからこそ、時代に合わせて自分自身を変え続けること。できれば、変化を先取りできるくらいが理想ですよね。これまで本当にたくさんの人を採用してきましたが、過去の成功体験だけに頼っている人は、なかなか新しい環境で成功できません。常に社会に適応し続けることが、すごく大事だと思います。

    「これからCFOを目指す人は、AIとどう向き合っていくべきでしょうか。」

    単純に数字を出すだけなら、もうAIがかなりの部分をやれる時代になっています。以前は壁打ち相手くらいの存在でしたが、今は実務そのものがかなり自動化されています。会計基準を知っている、法律を知っている、というだけでは、将来的にはAIが代替できるようになります。ただ、最後に決めるのは人間です。だから、AI時代こそ、「決断力」が重要になると思います。

    「正確な決断をするには、やはり経験も必要ですよね。」

    そうですね。一つの会社で深く経験を積むことも大切ですが、あえて困難な環境に飛び込み、多様な経験をすることも重要だと思います。人生の価値って、給料だけではないんですよ。どんな経験を得られるか、何を見られるか。特に若いうちは、失敗してもやり直しが利きます。だからこそ、新しいチャレンジをした方がいいと思います。年齢を重ねてから大きな挑戦をするのは、やはり大変ですから。

    「若いうちに失敗を重ねることが、決断力にもつながるということですね。」

    アメリカでは、むしろ失敗経験がある人の方が評価される部分があります。一方、日本は減点主義なので、一度失敗すると、そのイメージが残ってしまうことも多い。でも、成功や失敗って、環境要因も大きいんですよね。能力だけで決まるわけではありません。だからこそ、採用する企業側やCEO側の見る目も変わっていかないと、「過去に成功した人だけを採用する」ということになってしまう気がしています。

    「最後に、CFOを目指す若い方や、現在CFO的な立場にいる方へ、伝えたいことはありますか。」

    実は、日本には、「肩書だけCFO」の会社も多いと思っています。数字をまとめるだけでは、本当の意味でのCFOではありません。数字と事業、その両方を理解して初めて、その数字に意味が生まれます。だから、もっと事業そのものに踏み込んでいくべきだと思います。もちろん、すでにそういうCFOの方もたくさんいますけどね。
    例えば、会計士は数字を作るのは得意です。でも、事業そのものを経験していないケースも多いので、そこはものすごく努力しないといけない部分だと思います。

    「これから個人としてやっていきたいことはありますか。」

    まずは、引き続きCYBERDYNEに関わっていきたいです。
    ただ、自分自身、交通事故で一度生死の境をさまよっています。だからこそ、もっと「自分らしいこと」もやっていきたいと思うようになりました。具体的には、お金のないアーリースタートアップの方々を支援できればいいなと思っています。単なる利益ではなく、「こういう人を笑顔にしたい」「こういう未来を作りたい」という夢を持っている人たちですね。

    事故後は、取締役を退任し、特任役員という形になったことで、以前より自由に動けるようになりました。そのおかげで、大学の教授や講師、研究員なども兼任できています。
    今はAIによって業務効率もかなり上がっています。だからこそ、自分自身の総合的な価値を高めていければ、それが最終的にはCYBERDYNEにとってもプラスになると思っています。

    「企業、研究、スタートアップ支援。その3本柱は、かなり大変ではないですか。」

    もちろん大変です。でも、上場前の何でも全部やる時代と比べると、今はスタッフもいますし、AIもあります。あの頃は、本当に不眠不休で、混沌の中を全部フル稼働していましたから(笑)。

    「若いうちに、そういう経験をしておくことが大事なのですね。」

    そうですね。結局、「やり切る力」が身につくんだと思います。振り返ると、あの頃の経験が、全部今につながっていますね。


    経歴時系列
    1993年3月 獨協埼玉高等学校卒業
    1997年3月 獨協大学経済学部卒業
    1997年4月 株式会社 武富士
    2002年7月 タイコヘルスケアジャパン株式会社 財務経理部 
    2006年6月 米国公認管理会計士 登録
    2006年10月 オン・セミコンダクターテクノロジー株式会社 財務経理部長兼管理部長
    2008年4月 CYBERDYNE株式会社 経営管理部長
    2010年4月 CYBERDYNE株式会社 第2営業部長兼総務人事部長
    2013年1月 CYBERDYNE株式会社 営業部門責任者 (本部長) 
    2013年2月 米国公認会計士 (ワシントン州) 登録
    2013年4月 鈴鹿ロボケアセンター株式会社 代表取締役 兼務 (現任)
    2013年8月 大分ロボケアセンター株式会社 代表取締役 兼務  (現任)   
    2014年3月26日に東京証券取引所マザーズ市場へ上場
    2015年3月 放送大学大学院 文化科学研究科文化科学 修士課程 修了
    2017年11月 SUMS株式会社 社外取締役 (現任)
    2018年4月 湘南ロボケアセンター株式会社 代表取締役 兼務 (現任)
    2018年6月 CYBERDYNE STUDIO室 室長 兼務
    2019年2月 岡山ロボケアセンター株式会社 取締役 兼務  (現任)
    2019年4月 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻 博士課程入学
    2019年6月 CYBERDYNE株式会社 取締役 営業部門責任者 (本部長) 
    2020年4月 早稲田大学 人間科学学術院 非常勤講師 (現任)
    2020年 4月 MOVETEX株式会社 社外取締役 (現任)
    2022年 4月 福島県立医科大学 保健科学部  非常勤講師 (現任)
    2023年 3月 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻 博士課程修了
    2023年 6月 CYBERDYNE株式会社 特任役員 営業部門責任者 (本部長) 
    2025年 1月 東京大学 医学部附属病院 老年病科 客員研究員 (現任)
    2025年 4月 福島県立医科大学 保健科学部  特任准教授
    2026年 1月 Med&A Partners株式会社 顧問 (現任)
    2026年 4月 福島県立医科大学 特任教授 (現任) 
    2026年 4月 広島大学 医学部 Splendid Professor (現任) 

    CYBERDYNE株式会社
    特任役員 安永 好宏 氏
    その他 ロボケアセンターグループ 代表 福島県立医科大学 保健科学部 特任教授 広島大学 医学部 Splendid Professor 東京大学 医学部附属病院 老年病科 客員研究員 早稲田大学 人間科学学術院 非常勤講師 一般社団法人アジアがんフォーラム 理事 MOVETEX株式会社 社外取締役 SUMS株式会社 社外取締役 Med&A Partners株式会社 顧問 米国公認会計士/米国公認管理会計士/公認内部監査人 博士 (医学)  ※経歴の詳細は最終ページ末に記載