ベンチャー企業で得たこと
「ベンチャー3社を経験して、一番学んだこと、得たことはなんでしょう。」
私にとって、会社を選ぶ基準が明確になったことでしょうか。
1つ目は「事業内容を理解できる」こと。経営企画、数字を見る者として、事業内容を理解して、その事業が伸びていく確証が持てないと自分自身のモチベーションが保てません。
2つ目は「経営者と話ができる」こと。IPOを目指す上で、経営者が私の意見を聞いてくれないような関係性では、自分の力を活かせませんし、入社した意義が見出せなくなり続かないだろうと思いました。もちろん、自分の意見が間違っている場合は正すという前提です。
3つ目は「自分の力を活かせる」こと。まずは、自分の力・評価を正しく認識できるということが重要だと思っています。能力は環境によってブーストされることがあります。例えば、新卒ならば、ミスをしても大目に見てもらえることが多いでしょう。また「あの人はいい人だから、これくらいミスしても許される」といった“いい人加点”もありますよね。こういう環境ブーストは、転職をしたらリセットされるので、自分の力を正しく認識できていなければ、その仕事がはまるかはまらないかが分からないと思います。
4つ目はおまけとして、私はハードワークをしていた方がいいタイプだということ。知り合いの会社に入った時に、やるべきことをやったら暇になりすぎて、「辞めよう」と思いました苦笑
「ハードワークを嫌う方も多いですよね。しかし、ハードワークをするからこそ、成長できる側面もありますよね。」
すごくあると思います。スポーツの練習も同じですが、仕事もした分だけレベルが上がります。レベルが上がると、一つ一つの仕事にかける時間が減り、その時間でさらに仕事ができるようになる。仕事のレベルと効率が加速度的に上がるようになり、結果、成果を残せる人になります。たとえ仕事で失敗しても、失敗から学ぶことも多いので、次にその失敗をしなくなります。それだけでも成長です。ワークライフバランスは悪いことではありませんが、意識しすぎると仕事に使える時間がなくなり、それなりの成長しかしません。
また重要なことは、意識的に仕事をしていくこと。やらされているだけでは、いつまでたっても変わりません。「甲子園に行きたいから、小学校のときからクラブチームに入って野球の練習をする」のと同じで、「将来取締役になりたいから、新卒のときからハードワークをする」というように、意識して仕事をすることが欠かせません。
もちろん、体やメンタルを壊すまで働く必要はありませんよ。
TWOSTONE&Sonsとの出会い
「30歳代半ばで現職であるTWOSTONE&Sonsに転職します。転職した理由を教えてください。また、内部監査室長で入社してすぐに経営企画室長になられたのはなぜですか。」
2018年の3月頃にあるコミュニティで代表取締役COOの高原(克弥)と知り合いました。2社目の上場企業を退職する際に引き止めてくれた執行役員が紹介してくださった方がいて、その方が主催しているコミュニティです。高原から会社の話を聞いて「この会社、おもしろいな」「この人の会社に対する真摯さ、熱量はすごいな」と思ったのですが、当時は別の会社にいたので転職には至りませんでした。その後、2019年の春頃にその会社を退職しようと決断した時に、その思いをコミュニティの運営者の方に報告したところ、「高原くんのところはどう?」と提案してもらいました。
TWOSTONE&Sonsは、N−1期からN期に入るタイミングで、内部監査の強化が求められていました。8月31日までに内部監査室の創設、もしくは、それに準ずる人を入れないとIPOを止めると言われており、必死に人材を探していたようです。そこで5月にオフィスに行き、会社側はどういうことをしてほしいのか、私はどういうことができるのかなどについて、擦り合わせをしました。
高原は私のこれまでの経験を理解し、意見をくんでくれました。内部監査室の担当者として入社するけれど、経営企画にも関わらせてもらうことで話がまとまりました。
その背景には事業について話を聞いている中で、予算・実績管理をはじめとした、いわゆる管理会計が適切にできておらず、経営企画機能がうまく回っていないことが分かったからです。私の中で内部監査と経営企画は表裏一体です。両方とも経営を理解した上で、守備的に考えるのが内部監査、攻撃的に考えるのが経営企画で、軸足をどちらに寄せるかということだと理解しています。
ですから、高原に「経営企画と内部監査のすべてを行っていく必要がある。かなり整理する必要があるので、自由にやらせてほしい。それでもよいか」と言ったら「いいです」と言ってくれました。
先ほどお伝えした3つの会社を選ぶ基準を満たしていて、自分のやりたいことができると思いました。どうやってバリュエーションを上げていくかのイメージもでき、IPOの確度もそれなりにありそうだったので、転職することにしたのです。

経営企画の仕事はアメーバ
「TWOSTONE&Sonsにおける経営企画室の役割についてお話しください。」
当社に限らず、成長企業における経営企画室は、アメーバのように隙間を見つけて、その隙間に入って、各機能をつなぎ合わせていく役割であると思います。
経営が真ん中で、周りに営業や管理などさまざまな部門があり、会社が成り立っています。会社が成長していく中で、サービスが増えたり、新しい取り組みが増えたりして、各部門間の距離が離れていく。「話が通じなくなってきた」「管理部の言うことが浸透しない」ということはよくありますよね。しかし、この離れていくことを誰も自覚できていません。もちろんサボっているわけでもありません。みんな専門性というところで、縦にストレッチしていきます。経営企画は、こうした状況を察知して隙間を埋めていくイメージです。
アメーバ的に入り込んで、組織の成長の潤滑油になり、まずは組織が分裂しないようにする。そして、組織の成長速度を上げる。具体的には、情報共有をしたり、やるべきことを伝えたり、もしくは開き直って、間を埋める組織を作って無理やり連結したりすることもあります。管理会計などの日常業務をしながら、日々この隙間も埋めていく。これは、フリーマンである経営企画だからこそできる業務です。
私は良く「経営企画は会社のゴミ拾いだ。花形じゃないぞ」と表現しています。溜まったゴミを拾うことや、みんなやりたがらないことをやっているだけです。経営企画はFP&Aのイメージが強いと思いますが、それは一業務にすぎません。それよりも経営や事業を理解して、どう整理して伝えていくかが大事です。
代表にもしっかりと意見を言い、現場を掌握し、管理の知識を持って管理との会話をする。全ての真ん中に入る必要があります。たまたま過去の経験から私にはそのケイパビリティがあって、奇跡的にぴったりハマりました。そういう意味で、出来上がった会社ではなく、こういう規模の成長企業の方が私は活きると思います。
「企業は生き物ですもんね。」
そうなんです。ですから、固定化された考えで進めていくと絶対に上手くいきません。成長していく時こそ、新しいやり方を作っていかなければなりません。それを拒否した時点で企業の成長は止まってしまいます。
「上場直前で執行役員に昇格しています。貢献が認められたからだと思いますが、どんなことを心掛けて責任を遂行していたのですか。」
IPOの渦中だったので、何か心がけを変えるということはありませんでした。IPOミッションをやり切るということだけでしたね。
もう一度やりたいIPO準備
「2020年7月マザーズ上場を果たします。そこに至るまでの苦労と楽しさの両面について教えてください。」
IPO準備は、注力したらしただけ返ってくるので楽しかったです。総合闘技的のようなノリがあって、人生において初めて本気で頭を使ったと思います。当社のIPOにおいてはコンサルのサポートもほとんど受けていないので、本当に自分の能力が鍛えられました。これからIPOを目指す人に唯一言えることがあるとしたなら、「限界と思っていることは限界じゃない。限界だと思った地点に到達したときに、まだ先があることに気づいてさらに成長できる」ということです。限界にたどり着いたときに、思考は研ぎ澄まされます。これまでなかった方法が浮かんでくるのです。
そもそもIPOの環境に自分を置けること自体がレアですよね。さらに、CFOであれば中心で仕切るので、本当に成長できる。そして、IPOができればわかりやすい果実が手に入ります。こんなに成長できて素晴らしい環境があるのならば、やらない手はありません。ぜひチャレンジしてみてほしいです。
「チャンスがあればもう1回取り組みたいですか?」
やりたいですね。普段は考えないようなことまで戦略的に考えることができて、楽しかったです。例えば、東証や証券会社の審査においては、「ここは、指摘されるだろうな」というところに対して意識して文章を作成するなど、二手も三手も先を読んで文章を作っていました。
「昔から加藤さんのスタイルは飄々としていて変わらないですよね。苦労を楽しまれている印象です。」
そうですね。その後に何があるかによると思いますが、振り返ると、自分のように何かしらの資格や経験がない人間が、人より早く責任のあるポジションについたり、大きな組織を持ったりするためには、こういった苦労は必要だったと思います。特段そういったことを意識して取り組んだわけではないですが、苦労したらしただけ返ってくる世界なので、楽しいですよね。
「TWOSTONE&Sonsの高原さんとの出会いは大きいですよね。」
すごく大きかったです。高原は私よりも若いですが度量があり、私は好き勝手に言うタイプですが、彼もわがままを言ってくれるので相性がいいと思います。
