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株式会社TWOSTONE & Sons/取締役CFO 加藤 真 氏

大企業での経験こそ、ベンチャーで活きる。「企業の経営に対して意見を言える立場になる」を体現した道筋

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※インタビュアー/バリューアップパートナー株式会社 代表取締役 大塚寿昭
INDEX

    CFOの役割は仲間として事実を伝えること

    「CFOというポジションを意識したのはいつごろですか。またそれはなぜですか。」

    ベンチャーに転職した時にキャリアの1つの終着点として「CFOになりたい」と思っていました。生きていくためには仕事をしなくてはいけません。そして、どうせやるならばやり切りたいので、私の業務領域のトップであるCFOになりたいと思っていました。

    「CFOとしてCEO、COOとの距離感や接し方を教えてください。」

    当社の場合は特殊かもしれません。CEOとCOOの2人よりも、私の年齢が上ということもありますし、私がIPOを進めた存在でもあるので信頼関係が築けており、どんな話もしやすいと感じています。
    経営企画の時から心がけているのは、事実をしっかりと伝えるということです。「なぜそうなったのか」「どうすればいいと思うのか」といった質問にきちんと答えられるように準備しておく。加えて、彼らの考えを予測して、「こういうこともやっておいて」というリクエストにも対応できるように備えておきます。そうしたことを通して、信頼関係が構築されていき、「あなたが言うならいいよ」という状況を作ることができるようになります。

    ちなみに、資料を通して会話をしようとしても、代表陣は読まないことだってあります。それでも、あらかじめ資料は作っておき、コミュニケーションが終わった後に「一応、資料を作ってあるから、送っておくね」というように、その証左として資料を活用するようにしています。相対する相手によってコミュニケーションの方法は変わってきますが、相手とキャッチボールができることが重要であると思っています。例えば資料を作って読んでもらえなかった、理解してもらえなかった時に「俺はこれだけのことをやっているんだ」と自己満足していてもダメだと思います。
    また、「あなたの仲間だよ。一緒に考えているよ」というマインドも大事だと思います。「これについて考えるのがあなたの仕事でしょう」といったマインドでは信頼関係は築けません。

    仕事の失敗は仕事で返す

    「失敗したときや落ち込んだときの対処法があったら教えてください。」

    私は、失敗は失敗として受け入れる。そして、仕事の失敗は仕事で返すしかないと思っています。なんとかして、「それ以上の仕事をやろう」という気持ちに持っていきます。エラーで1点取られたら、ホームランを打って取り返す。そうはいっても、そこまで前向きな気持ちに持っていくのには時間がかかります。ですが、それは時間が解決するとも思います。失敗して落ち込んで上司に慰めてもらって安心するということは本質ではありません。
    ただ、失敗を認めてくれる環境かどうかも重要です。失敗をしたら、窓際に追いやられて、挽回する機会も与えてもらえないような環境ならば、会社を辞めるなどリセットボタンを押して、活躍できる場に行くという覚悟も持たなくてはなりません。そして、その選択ができるように普段から自己研鑽しておくこと。社外から見ても魅力的な人になっていれば、求める会社は必ずあります。

    「仕事でストレスも解消しているのでしょうね。」

    仕事での達成感でストレスが解消されると思います。
    会計士試験を受けていた僕の大学時代の同期が、会計士の勉強が煮詰まったから、簿記の勉強でストレスを解消すると言っていました。簿記1級の勉強をして「俺はできる」と再認識して、もう1回会計士の勉強をしていたそうです。今ならば、この気持ちがわかります。ゴールがある資料を作るような事務仕事をしている時は安心するものです。答えがなくて考え続ける仕事の方が、ストレスは溜まりますよね。

    「仕事には大きな仕事も小さな仕事もあります。仕事の進め方も人によって違いますよね。小さい仕事をして達成感を得てから大きな仕事をする方がスムーズに進む場合も多いですよね。」

    特に、ベンチャーには「大きいことをやりたい」という人が入社を希望すると思います。でも、そもそも小さいこと、基礎的な行動を怠る人が大きいことをできるわけがありません。この基礎力を鍛えるほど、自分の中でパターン化ができ、仕事がスムーズに進むようになると思います。

    CFOに必要なスキル・マインド

    「CFOの役割を全うするために必要なスキルやマインドは何だと思いますか。」

    先ほどベンチャーのキャリア終着点としてCFOを目指していたとお話をしましたが、ここ3〜4年で、「私はまだまだCFOではないな」と感じています。自分がCFOであることが少し恥ずかしいというか、おこがましいと思うところがあります。私は、外銀、証券会社、監査法人出身ではなく、いわゆる叩き上げなので、スキルという意味でファイナンス寄りではないからです。
    その上で、CFOとして必要なマインドは、当事者意識を持つことでしょうか。全てのことに対して責任を持つ。「○○さんがミスをしたから」ではなく、「それを見抜けなかった自分が悪い」という気持ちを常に持つことが求められます。「なぜ、見抜けなかったのだろう」と落ち込むことにもつながるのですが、絶対的に必要なマインドだと思います。

    必要なスキルとしては、その会社に必要なスキル・知識を身につける努力を怠らないことでしょうか。どれだけ前提のスキルがあっても、新しい手法が出てきたら、取り込んでいかなくてはなりません。そして、経営から求められてからではなく、取締役として何をしなければならないのか、何を身につけなければならないのかを自発的に考えて、身につけていくことも重要です。私はそういったことを意識しています。

    「与えられた役割に対して、100%、120%で応えたい。そのためにはいろんなものを吸収していくということですね。」

    例えば、代表が私に対して、これを身に着けてほしい。といったような必要なスキルを示してくれている時点で遅いんです。CEOやCOOはCFOの役割内での知識はありません。彼らに指摘された時に、「用意できているよ」と出せる自分でいたいと思っています。例えば、海外の公募増資について「こういうことをやりたい」と言われた時は、1〜2年前から検討案として用意していたので、すぐに進めることができました。そういうことができるようにしておくことが大事だと思います。
    与えられた期待に応えるという意味では、彼らから言われたことではなくて、この会社における取締役CFOについて自分が思い描く像にどこまで近づけるかだと思います。同時に、「そこに辿り着けない」、「私でない方がいい」と思った時には退こうと思っています。自分がいることで会社の成長が止まるフェーズがきたら職を辞すケースもあると思います。そういう話を代表ともしています。

    CFOの魅力は、会社を成長させているという実感を持てること

    「CFOの魅力を教えてください。」

    何でもできることだと思っています。会社を成長させている、会社を守っている、会社を支えている。その実感を持てることは最も大きな魅力です。会社によって異なりますが、そういった屋台骨としての仕事ができる非常に魅力的なポジションです。

    「最後にこれからのやりたいこと、目標があったらお聞かせください。」

    個人的な目線でいうと、実はもうほぼ達成しています。元々なりたかったのが、「経営に対して意見を言える人になること」で、40歳までにIPOをして、上場企業の経営企画室長になることが一つの目標でした。それが35〜36歳でできてしまった。IPOもできたし、上場企業の執行役員になり、35歳で当初の目標を達成しました。
    そこからは、個人の目標を持っていません。個人として儲けたいという思いや、社会的地位を得たいという欲求はどこかに飛んでいきました。 今は、個人軸から会社軸になり、この会社をどこまでも大きくしていきたいという気持ちがあります。

    株式会社TWOSTONE & Sons
    取締役CFO 加藤 真 氏
    新卒で上場メーカーに入社。 その後大手菓子メーカーを経て、複数のベンチャー企業にて管理部門の立ち上げからIPO準備、資本政策まで幅広い実務を経験。 2019年9月 TWOSTONE & Sons入社、内部監査室長兼経営企画室長。 2020年5月 執行役員就任、同年7月東証マザーズ上場。 2022年5月 上級執行役員就任、経営戦略本部を管掌。 2023年11月 取締役CFO就任。