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ジャフコグループ株式会社/パートナー 小沼 晴義 氏

国内最大手VCのベンチャーキャピタリストがCFOに求める「忠実さ」と「客観的な判断」のバランス

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    投資先のために全社員が協力するカルチャー

    「投資後の投資先との関わり方についても教えてください。」

    リードインベスターとして主体的に関わるケースが多いですね。また、取締役に就任する場合は、取締役会で定期的に経営陣とコミュニケーションをとっていきます。
    KPIデータなどの数値データをGoogleスプレッドシートで共有してもらい、リアルタイムで確認できるようにしている投資先もあります。それをもとにコミュニケーションをとりながら、人の採用や営業支援など、投資先に必要なサポートをします。

    「投資した後は、ジャフコをあげてサポートするわけですね。」

    そうですね。ジャフコは真面目な会社なので、投資先のために何ができるかを考えて、プラスになることは全社員が協力をして行うというカルチャーがあります。起業家ファーストなところがありますね。全社で組織的にサポートすることが投資先のためになりますし、価値があることで我々も恩恵にあずかることができます。

    「これまで多くのベンチャー企業に投資してきましたが、その中でも特に印象に残っているベンチャー企業はありますか。また、その理由も教えてください。」

    10年以上前に出会ったSaaS・Fintechのスタートアップの経営者は印象深い起業家のお一人です。お会いしたのは設立から半年が経過した頃で、ちょうどFintechサービスを立ち上げたばかり、というタイミングでした。その後SaaS事業をスタートしました。
    出会った当時から、解決すべき課題、将来のビジョン、次なる構想をお持ちで、優秀な社員を抱えていました。あれから十数年経っていますが、その通り進んでいるという印象です。

    お会いした月に資金調達したばかりでしたので、お金が必要になった半年後に出資をさせていただきました。今では数千人規模の企業サイズになっています。この10年間では、ここまでの急成長を遂げる企業の経営者とお会いしたことはなかったので、印象に残っています。
    当社から学んだのは、最初に優秀な経営チームがあるかどうかが大切ということです。経営者や経営チームがしっかりしていると、優秀なマネージャークラスが集まり、美しい組織体系になります。

    CFO採用のベストタイミング

    「ベンチャー企業でCFOを採用する場合、その時期はいつ頃が最適だと思いますか。また、それはなぜですか。」

    必要な資金調達の額によって異なると思います。
    継続して大きな額の調達が必要な会社であれば、設立時からやシリーズAくらいからCFOがいた方いいと思います。
    それに対して、適度に調達していく会社であれば、上場の3年前くらいのタイミングでしょうか。経営者が一人でシード、シリーズAは調達して、シリーズBくらいからCFOの役割を果たせる人が必要になるケースが多いです。
    また、組織としても、従業員が50名くらいになると、管理部長やCFOなどマネジメントする立場の人が必要です。

    私が今関わっている社会課題解決型の会社は、スタートアップのCFOを経てメガベンチャーの経営陣におられた方が起業されて会社を設立されました。当社の場合は、早い段階からCFOの方がジョインされています。当社は大きな資金調達が必要なビジネスモデルなので、設立直後からCFOがおられるというパターンになりますね。

    「ベンチャーキャピタルとしてCFOの採用にどのように関わっていますか。」

    CFOの採用面接もするケースも多いです。CFOはお金を管理する責任者であり、営業や取締役とは異なる立ち位置なので、丁寧に対応します。

    「ベンチャー企業の社長・CEOは平均的に若いですが、それによってCFOにも若さが求められるケースも少なくないと思います。若い分、経験やスキル、人としての成熟度などの点で気になることはありますか。」

    経験がない方や経験が浅い方は、最初からCFOにならない方がいいでしょう。経理マネージャーや管理マネージャー、管理部長、経営管理部長などのポジションからステップアップしていった先にCFOのポジションがあると思います。

    「例えば社長が35歳くらいで、同年代には豊富な経験を持っている人がいない場合、50歳前後の方にCFOとなっていただく選択もアリだと思いますか?」

    経営者次第なので、アリだとは思います。ただし、なかなかそうしたケースは少ないかもしれませんね。あまりにも年齢が離れていると、世代間ギャップがありますから。経営者が35歳でCFOが40歳代くらいの場合は十分にあります。
    経営者は自分の思うようにやりたい方が多いので、年齢が上すぎるとやりづらさを感じる可能性はあります。かといって、経営者が35歳の場合、29歳の方をCFOにすると、往々にして経験が足りないケースが多いので、同年代か少し上の方になるかと思います。

    ベンチャーキャピタルがCFOに期待する役割

    「小沼様がベンチャー企業のCFOに期待する役割は何でしょうか。」

    経営者として経営を担ったことはなくて良いのですが、経営者的な視点は持っていて、バックオフィス全般のゼネラリスト的な感覚がある方がよいでしょう。特に、経理・財務については、深掘りできる方がいいです。
    SaaS事業を展開している上場企業のCFOの方は、前職でPMIのご経験がある方で、非常に良くマッチされていました。戦略コンサルの後に、上場企業でM&Aを担当し、海外でもPMIをなさっていた方です。
    このように、新しい視点として、買収先でPMI経験がある方や、バイアウトファンドにいて、投資先でCFO的なポジションを経験された方もCFOとして活躍されている話を耳にする機会が増えましたね。

    「CFOとベンチャーキャピタルの担当者との関係性はどうあるべきだと思いますか。」

    日常的にコミュニケーションをとることができる関係性でありたいです。我々から直接、経営者に話をするケースもあれば、CFOを経由して話をすることもあります。投資先からも同じで、CFOからボールをもらうこともあります。きちんと役割を果たすために、お互い良い関係を作っておきたいですね。

    ジャフコグループ株式会社
    パートナー 小沼 晴義 氏
    1992年4月のジャフコ入社から現在までスタートアップへの投資活動を行っている。 2022年4月チーフキャピタリストに就任。 2024年4月よりパートナー。 主な投資領域はFintech、SaaS、Market place、Robotics、Age Tech。 主な投資実績は、バリューコマース、マネーフォワード、Chatwork、Finatextホールディングス等。 関わった投資先のIPOは22社、M&Aは13社。 Forbes Japanが選ぶ日本で最も影響力のあるベンチャー投資家 BEST10 2017年10位 2019年3位 2022年 4位。