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それからのCFO
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石橋 善一郎 氏

【後編】FP&Aプロフェッショナルが目指したCFOへのキャリア。そして、その先に見えた自身の役割とは

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※インタビュアー/バリューアップパートナー株式会社 代表取締役 大塚寿昭
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    壁も大きいかと思いますが、やりがいもありますよね。」

    そうですね。実は同じ問題意識を持っている人たちが日本の社会にはたくさんいます。皆さんに協力していただきながら、今の若い人たちに「CFO組織の真ん中にFP&A組織があり、CFOを目指すプロフェッショナルとしてのキャリアの真ん中にFP&Aプロフェッショナルのキャリアがある」というメッセージを伝えていきたいと考えています。この2年ほどで、手応えも感じています。インターネットでFP&Aと検索すると、FP&Aという言葉で経営管理のポジションの採用を行う企業がたくさん表示されるようになりました。

    CFOと教育者の共通項はありますか。

    スキルセット的には近いと思います。ビジネスパートナーの役割とは、自分の専門ではない分野の人たちを理解して関係性を構築し、コミュニケーションをとる。それだけではなくて、自分の得意なものを相手に渡す。教育者はまさにそれだと思うのです。
    学生さんや受講者が求めているものをできる限り理解した上で、彼らが本当に必要で私が持っているものを渡す。
    また、CFOと教育者は、「自分の経験や学習から蓄積した後天的な才能を活かすことができる」という点でも同じだと思います。

    石橋さんは社外取締役もされていますよね。CFOの経験は社外取締役や社外監査役に活かされると思いますか。」

    FP&Aを経験したCFOこそが、社外取締役や社外監査役の候補者の中心にいるべきだと思います。取締役の役割は、コンプライアンスとビジネスパートナー両方の役割がある点でCFOに近い役割です。日本の取締役会だとコンプライアンスだけ経験されている方々が多くいます。私は、企業価値を守るだけではなく、企業価値を上げることが目標だと思っています。CFOを目指してFP&Aプロフェッショナルをやってきた方々は、日本における社外取締役のあり方に大きな貢献ができると考えています。

    これからの夢

    これから先にどんな夢がありますか。

    人間には年齢があります。大企業では55歳くらいで管理職から外れます。教育者も同じで、65歳くらいからフルタイムで教えることの終わりがきます。私は今63歳。そういう意味では、この5年くらいが職業人団体で活動し、大学院で教えていく時期だと考えています。IMA日本支部でFP&Aプロフェッショナルを支援することと、日本CFO協会で日本企業におけるFP&A組織の構築と成功を支援することに力を入れていきたいです。70歳代には、自分1人で社会に何か貢献できていたらいいなと考えています。「1人でどんなことができるのか」、これは究極のクエスチョンだと思います。

    そのために今も自分に対して投資しないといけないなと思っています。私自身は、勉強が好きだし、勉強することが得意だとも思っています。勉強をして、将来何かに結びつくといいなとはもちろん思っていましたが、振り返ると、勉強すること自体、そのプロセスで経験したことや努力に価値があると思います。終着点も大事だけど、終着点までのプロセスが大事。そのポイントポイントで目標を持って、それに対して努力していること自体に、生きることの価値があると思うのです。プロフェッショナルは死ぬまで学び続けます。そのために、今必要なことは何かを見極めて、学んだり行動したりしていきたいと思っています。

    石橋 善一郎 氏
    1982年富士通入社。 1990年コーポレイト・ディレクション入社。 1991年インテル日本法人FP&Aマネジャー。 1994年インテル日本法人経理マネジャー。 1997年インテル日本法人コントローラー(FP&A・FP&A統括)。 2000年インテル製品事業部コントローラー。 2002年インテル日本法人CFO(FP&A・経理・財務統括)。 2005年ディーアンドエムホールディングスCFO。 2007年から2016年まで日本トイザらス代表取締役副社長兼CFO。 現在、米国管理会計士協会(IMA) 日本支部 Presidentおよび日本CFO協会 FP&Aプログラム運営委員会 委員長。 LEC会計大学院 特任教授および千葉商科大学会計大学院・中央大学大学院戦略経営研究科・東京医科歯科大学 客員教授。 株式会社常陽銀行 社外取締役(監査等委員)。