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元 株式会社ストルアス/管理部 部長(コンロトーラー) 安田 健子 氏

ファイナンスや英語の知見を活かし、日系企業から外資系コントローラーになるまでの道のり

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※インタビュアー/バリューアップパートナー株式会社 代表取締役 大塚 寿昭
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    念願のコントローラーとしてマレーシアへ

    「努力が実り、マレーシアの事業部コントローラーとして赴任して活躍することになります。初めての海外赴任、しかもコントローラーという重責で不安はありませんでしたか。」

    不安よりも「挑戦してみたい」という気持ちが強かったです。カーギルに入社した時から、「チャンスがあれば海外赴任をしたい」と上司に話をしていました。当時のダイレクトレポートは、シンガポールでアジアを統括するボスでしたので、その組織の中で空きが出たタイミングで「マレーシアはどう?」と声をかけていただきました。海外赴任の希望を相談していた日本のカントリーコントローラーや元上司も支援してくださいました。

    「マレーシアではどのようなことに注意して業務を進めましたか。」

    マレーシアのビジネス規模は日本より小さいのですが、その分コントローラーはビジネス全体を現場で見ていく必要がありました。現場に出ることで、多くのことを学びました。
    文化が違うので、まずは、何がメンバーに刺さるのか、どう伝えたらやる気になるのかを理解して、それに合った対応をするようにしました。

    カーギルマレーシアには、私以外に日本人は1人もいない環境でしたので、英語のみで仕事をする絶好の機会に恵まれました。また、シンガポールの上司はパキンスタン出身、同僚もインドや中国系等々の環境で仕事をしたおかげで、それぞれの文化をより深く理解できると共に、様々なアジアン英語(シングリッシュ、インド系の英語、フィリピン系の英語 等々)の中で支障なく仕事ができるまでのレベルになりました。

    「コントローラーとしてどのようなミッションが与えられていましたか。仕事内容を含めて教えてください。」

    ミッションの1つ目は、マレーシアのビジネスの成長です。
    もう1つは、私の後任人材の育成でした。マレーシアチームは平均年齢が20歳代で、マネジメント層が弱い組織だったので、会社の方向性を現場へ浸透させ、チーム力の強化を図る必要もありました。
    また、シンガポールの上司からは、「あなた自身で意思決定ができるかどうかを見させてもらう」と言われていました。「ビジネスの方向性を決める上で大事なことを学びなさい」と伝えられているようで、責任重大だと感じました。迷ったときは人に相談したり、現場を見に行ったりしながら、ビジネスの肝となるポイントを学ぶ機会を与えてもらったと感じています。

    仕事内容は、日本より幅広く見なければならない立場でした。例えば、リスクマネジメントにおける職場環境の安全性については、日本ではコントローラーの仕事ではありませんが、マレーシアでは全部コントローラーに相談がきます。
    ある日、港に着いたとうもろこしを船から倉庫に運ぶ業務を管理するオペレーションチームの1人から「蛇がでた。安全対策をする必要があるから予算をくれ」と相談がありました。日本のアオダイショウのような蛇をイメージしていたので、大騒ぎする理由がわからなかったのですが、よく聞くとコブラだと言うではありませんか。それは命に関わる話なので、すぐに関係部署と話し合い予算を付けて必要な安全対策を取りました。

    現場に入り込む各国のコントローラーの仕事

    「コントローラーには多様な仕事があるのですね。」

    さまざまな仕事を進めていくために、より現場を見に行く必要がありました。営業から、「どうしてもこの会社の与信を上げたいから、一緒にきてほしい」と頼まれて、同行して判断したこともありました。港から、「とうもろこしが腐りかけているので、状況を判断してほしい」と連絡が入り、見にいったこともあります。

    コントローラーという名前がついていますが、安全管理やリスクマネジメントも担っていました。各国のコントローラーは、ビジネスのことを本当に何でも答えられます。それは現場に入り込んで、どんなことでも対応しているからなのだということが、マレーシアに行って初めてわかりました。マレーシアでは、辛いこともありましたが、良い経験になったと思っています。

    「マレーシアで成功した最大の要因は何だと思いますか。」

    もともと2〜3年で日本に帰任するという期限が決まっていたので、それまでに何をどう整理・強化するべきかを、GM・上司・部下と密にコミュニケーションをとりながら進めた結果だと思います。
    GMとは、しっかり信頼関係を築いて、何でもオープンに話し合いながら方向性を決めていきました。
    チームについては、良いところをどう伸ばしていくか、弱いところはどう教育していくかを考えながら、勉強会を開催するなどのレベルを上げていく手立てを講じていきました。方向性をわかりやすく示すことで、若いメンバーがついてきてくれました。良いメンバーに恵まれていたと思います。

    日本のコントローラーとして活躍

    「実績が買われて、日本の事業部コントローラーとして帰任します。その際のミッションと責任業務について教えてください。」

    カーギルジャパンの穀物油脂本部のコントローラーとして、財務会計、管理会計全般においてビジネスをリードする職務を担いました。穀物油脂本部は、カーギルの強みである穀物関連商品(とうもろこし、大豆、大豆粕、麦、米穀、油脂、その他)の食品・飼料の原材料を日本の顧客に供給するビジネスです。
    会計業務においては、当該ビジネスにおけるファイナンス業務全般を管轄しており、資産管理・法令・USGAAPとJGAAPの遵守・リスクマネジメント・内部統制・インドへの業務移管・プロセス効率化・ファイナンスチームの育成などです。

    ビジネスパートナーとしては、マネジメントに対する的確かつ信頼されるアドバイスや支援が求められます。部門業績達成のための情報提供、部門戦略の実行支援も重要な役割です。
    私をここまで育ててくれたカーギルへ、マレーシアで一回り成長した自分の力を使って恩返しをするという思いで業務にあたりました。

    「カーギルジャパンの人事制度を教えてください。」

    本人の能力・ポテンシャル・方向性に則って能力開発が行われていました。
    マネジメントの層が厚く、良い上司やメンターにも恵まれたと思います。年に2回ほどの上司とのミーティングでは、キャリアの方向性について話し合う機会が設けられていました。私が「次はこのポジションに就きたい。将来的には海外に行きたい」といった話をすると、上司からは「ここに行くためには、こういう結果を出さなきゃね」といったアドバイスを得られました。上司以外でも、私が勝手にメンターとして相談にいく方もいたのですが、皆さん快く話を聞いてくださいました。自分の限界がよくわかっているので、まっさらな気持ちでプロに学びにいくという姿勢を大切にしていました。幸いなことに、私のような人にいくらでも手を差し伸べてくれる会社でした。

    また、次期マネジメント層に向けた研修制度も用意されていました。海外の同じような立場の仲間と研修やディスカッションを通じて知り合える機会も充実していました。選ばれないと参加できない研修なので、結果を出すよう頑張ろうとモチベーションにもつながったように感じます。研修で知り合った仲間とマレーシアで再会し、マネジメントとして一緒に仕事をすることになるといったこともありました。その方とは今でも交友が続いています。

    「カーギルとして、コントローラーへの期待は明確でしたか。」

    明文化されたものは見たことがありませんが、上司のコントローラーやメンターの方々とのディスカッションを通して、ファイナンスを基盤として、法令遵守・内部統制、リスクマネジメント、より効率的なプロセスの追及、ビジネスパートナー、人材育成の5つが軸であると私は理解していました。

    元 株式会社ストルアス
    管理部 部長(コンロトーラー) 安田 健子 氏
    1985年4月 株式会社リクルート入社 AR Supervisor 1994年4月 同社 FP&A Financial Analyst 2000年9月 同社 営業経理リード 2004年9月 同社 FP&A Financial Analyst 2006年2月 株式会社カーギルジャパン 穀物油脂本部 シニアアカウンタント 2009年1月 同社 穀物油脂本部 ファイナンスマネージャー 2011年7月 カーギルマレーシア 穀物油脂本部 コントローラー 2014年7月 株式会社カーギルジャパン 穀物油脂本部 コントローラー 2017年5月 株式会社ストルアス コントローラー